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事実婚パートナーが亡くなったとき、遺族年金を受給することができるのか?
遺族年金を受給するためには、年金事務所に夫婦であったことを認めてもらう必要があります。
これまで事実婚として夫婦関係にあったことが認められれば、遺族年金を受給することができます。
今回は、内縁・事実婚と遺族年金について解説します。
法律婚の夫婦と比べて、事実婚・内縁の夫婦は、法的な地位が不安定になることがあります。
遺族年金の受給についても、夫婦の一方が亡くなったときに、他方に年金が支給されるのか気になります。
結論から言うと、遺族年金を受給できる可能性が高いといえます。
遺族年金の給付対象は「事実上、婚姻関係と同様の事情にある者を含む」とされています。
そのため事実婚・内縁関係の夫婦であっても遺族年金の給付対象になると考えられています。
ただし、実際に遺族年金の給付を受けるときには、本当に事実婚夫婦としての実態を有していたのか審査を受けて、年金事務所から認めてもらう必要があります。
審査を受けたうえで夫婦関係が認められた場合に、遺族年金の給付を受けることができるのであって、無条件で認められるわけではありません。
夫婦関係にあったかどうかを審査する年金事務所の判断基準として、以下の2点が示されています。
また、遺族年金を受給するには「事実婚の実態があったこと」「死亡した人によって生計を維持されていたこと」を証明する必要があるとされています。
単なる同居人ではなく、自他ともに認められる夫婦として共同生活を営んでいたことが求められます。
また、おふたりが同一の生計により、夫婦生活を営んでいたことも求められます。
実際の申請の際には、次のような資料を提出して、年金事務所へこれまでのお二人の夫婦関係を説明することになります。
遺族年金は、亡くなった人が加入していた年金制度によって、給付を受けることのできる対象者が少し異なります。
年金には、大きく分けて自営業者などが加入する国民年金と、会社員などが加入する厚生年金のふたつの制度があります。
「遺族基礎年金」の給付を受けることできる対象者は、「子のある配偶者・子」です。
事実婚であった夫婦の間に子がある場合、パートナーは、遺族基礎年金を受給することができます。
また、亡くなった者が会社員で厚生年金に加入していた場合には、子の有無にかかわらず、事実婚パートナーは「遺族厚生年金」の給付を受けることができます。
年金の種類 | 受給資格者 |
遺族基礎年金 | 子のある配偶者、子 |
遺族厚生年金 | ①配偶者、②子、③父母、④孫、⑤祖父母 ※上記①~⑤の順で受給権を有する |
重婚的内縁関係とは、まだ離婚が成立していない状況で、
「戸籍上の配偶者(法律婚)がいるにもかかわらず、他の者と事実上の夫婦になり、(法律婚と事実婚という二つの)婚姻関係が重複している関係」のことをいいます。
子どものいる夫婦では、たとえ夫婦関係が破綻し別々に暮らしていても、子どもへの影響を考えて戸籍上は離婚しない(籍は抜かない)という夫婦も少なくありません。
そのような状況で、いずれか一方が他の異性と事実婚関係になったとき、元の法律婚と、新たな事実婚の二つの婚姻が同時に存在することになります。
このとき、後から成立した事実婚のことを「重婚的内縁関係」と言います。
事実婚・内縁関係であっても、法律婚と同じように一定の法的保護を受けることができます。
しかし、重婚的内縁関係の場合には、元の婚姻関係(法律婚)がまだ有効であるため、後から成立した重婚的内縁関係については、法律上の保護が弱くなります。
民法732条は、「配偶者のある者は、重ねて婚姻することができない」として、婚姻関係の重複(重婚)は認められていません。
そのため、重婚的内縁関係では、法律上の保護を受けることが難しく、遺族年金の給付を受けることについても、基本的には困難となります。
元の婚姻(戸籍上)が有効であるため、原則として、遺族年金は戸籍上の配偶者が受給することになります。
上記のとおり、重婚的内縁関係の場合には、法律婚が優先されるためパートナーが亡くなっても事実婚の夫または妻は、遺族年金を受け取ることができません。
しかし、元の婚姻(戸籍上)が完全に破綻・形骸化している場合には、例外的に、重婚的内縁関係にある一方が遺族年金を受給できる可能性があります。
元の婚姻(戸籍上)が事実上もはや存在していないケースでは、例外的に、戸籍上の配偶者よりも、事実婚の配偶者が優先されるというイメージです。
では、どのような状態にあれば、元の婚姻(戸籍上)がもはや存在しない、完全に破綻・形骸化しているといえるのでしょうか。
上記のような事情がある場合には、婚姻(戸籍上)が破綻・形骸化している状態にあると認められやすいと考えられています。
そのため、事実婚・内縁関係の配偶者が、遺族年金を受給できる可能性があります。
逆に、戸籍上の妻と継続的に連絡を取り合っていた、仕送りをしていたといった事情がある場合には、
原則どおり法律婚が優先されて、戸籍上の妻が遺族年金の給付を受ける可能性が高くなります。
重婚的内縁関係にあった者の配偶者に対して、遺族年金の支給をするときには、
元の法律婚が完全に破綻・形骸化しているどうかを確認するため、年金事務所から戸籍上の妻に対しても、審査が入ることになります。
戸籍上の妻に対する審査と、重婚的内縁関係にある者に対する審査の結果の両方を考慮した上で、どちらに遺族年金を支給する方が適切なのか決定されます。
「婚姻が重複する」という状態になることは、通常は考えにくいのですが、実際には様々な事情によって重婚的内縁関係が生じています。
夫婦の不仲によって長期間の別居に至り、別々の生活で暮らしているうちに、いずれか一方が異性と親しくなり交際を開始します。
やがて新たな交際が長期間に及び、もとの婚姻関係が破綻するのですが、
このときに子どもなど元の家族への影響などを鑑みて、離婚届を提出しないままにすることがあります。
そのような状態が数年から十数年経過することによって、元の夫婦関係は完全に破綻・形骸化することになります。
そして、新たな交際者と同居し、実質的に夫婦と変わらない状態になった場合、重婚的内縁関係と呼ばれる関係が成立します。
このように意図して、意識的に重複した婚姻をしているのではなく、長い時間をかけて、自然と重婚的内縁関係が成立するケースが典型例といえます。
事実婚の証明には、夫婦として生活する合意や、夫婦が生活費を負担し共同生活を営んでいたことを証明する必要があります。
同一生計や同居の証明には、公共料金支払いの領収書や住民票が同一世帯となっていることなどで簡単に証明することができます。
婚姻意思の合致については、住民票に「配偶者(未届)」として登録しておく方法が有名です。
さらに、契約書(公正証書)を交わしておくという方法もあります。
契約書(公正証書)には、事実婚として婚姻生活をいつから始めたこと、貞操義務、夫婦の協力・扶助義務を負うことなどを、契約書上で確認します。
その他に子に対する親権行使の委任や、財産の共有、事実婚解消時の財産分与、医療行為への同意など法律婚の夫婦と同じような合意していることを、契約書(公正証書)で証することができます。
ローン契約時に金融機関に提出する、会社から配偶者としての福利厚生を受けるために利用する、医療行為への同意など、将来に備えて公正証書をする場合があります。
当事務所では、事実婚に関する公正証書の作成実績を多数有していますので、お気軽にご相談・お問合せください。
事実婚・内縁関係に関する公正証書の作成は、インターネット上でテンプレートのようなものが掲載されていますが、実際にはそのままの内容で公正証書を作成することはできないことの方が多いです。当事務所では、これまでに多くの事実婚契約公正証書作成した実績を有していますので、お困りの方はぜひ一度ご相談ください。
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