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令和7年10月から、基本的に公正証書は、電子データで作られます。
これまでのように紙ではなくデータで公正証書を作成する、さらに、公証役場へ出頭しなくても公正証書が作成できるようになるなどの新たな制度がスタートしています。
公正証書が電子化されたことで、これまでの署名押印の手続きは、電子サインへと変わっています。
この記事では、公正証書の電子化によって何が変わったのか、リモート作成はできるのか、公証役場で対面により電子サインをする場合の流れについて説明します。
公証人法の改正によりこれまでの運用から大きく変わった点は、以下の2点です。
どちらもこれまでの公正証書作成の流れを大きく変えるもので、いずれも利用者にとってメリットが大きい変更と言えます。
これまで公正証書を作成するためには、少なくとも一回は本人が役場を訪問する必要がありました。
弁護士等の代理人に手続きを依頼できない場合には、原則として、本人が公証役場に出頭しなければなりません。
例えば離婚の公正証書を作成する場合で、離婚原因がDVである場合であっても、公証役場で相手と顔を合わせる必要がありました。
また、不貞行為の慰謝料支払い関する公正証書では、慰謝料を支払う不倫相手と、不貞行為の被害者が揃って公証役場を訪問しなければなりません。
これらが、公正証書の作成をためらう理由になっていたというケースもあります。
今後は、「公証人が認めた場合には」Web会議システムを利用したリモート面談を利用することで、当事者が直接公証役場で顔を合わせることなく、公正証書を作成することも可能になりました。
公正証書作成のハードルが、下がることにもつながります。
これまで公証人は、対面によって当事者の意思・陳述を聞き取る必要がありました。
公正証書を作成する当事者は、少なくとも一度は公証役場を訪問する必要があったわけです。
今では、「公証人が認めた場合には」Web会議システムを利用して、リモートによって本人の意思・陳述の聞き取りを行うことができるようになっています。
リモート面談を実施する場合には、まず本人双方の希望が必要です。
仮に離婚給付公正証書を作成する場合で、Web会議システムを利用したリモート面談行うためには、夫婦の双方がリモート面談を希望する必要があります。
もし一方のみがリモート面談を希望して、他方は公証役場の訪問を希望する場合には、リモート面談を実施することができません。
その場合には、これまで通り、両名が揃って公証役場を訪問する必要があります。
公証人がリモート面談を相当でないと判断した場合には、直接面談による公正証書の作成が必要になります。
Web会議のシステムでは、カメラと音声のみでやり取りをします。
本人が十分に公正証書の内容を理解しているのか、本心から陳述しているのかが分かりにくいことが考えられます。
カメラから見えないところで第三者が陳述を誘導するといった可能性も考えられます。
そのため、当事者がWEBカメラで自分のいる部屋の様子を映し、だれもいないことを公証人に確認してもらうなどの対応が必要になります。
また、公証人がリモート面談による作成が相当ではないと判断した場合には、Web会議システムを利用した公正証書の作成をすることはできません。
紙ベースで公正証書を作成していたときは、公証役場を訪問した本人が直接公正証書に押印していまいた。
現在は、電子データで公正証書を作成することが基本になるので、原則として押印は不要です。
公証役場で、当事者者は、公証人が用意するタブレット端末の指定された箇所へ、タッチペンなどでサイン(電子署名)をします。
これまでは公正証書が作成された後に、公正証書正本・謄本が本人に交付されていましたが、今後は、紙ベースではなく、電子ファイルでの受領を希望することができます。
電子ファイルだけでなく、紙ベースでの書面交付を希望することも可能で、その場合には、公正証書の正本(相当)の書面を交付してもらうことも可能です。
これまで公正証書の作成は、当事者が住んでいる地域にある最寄りの公証役場を利用することがほどんどでした。
都市部であれば、近隣に複数の公証役場があるので、任意の役場を利用することができます。
しかし、地方では、隣の公証役場まで数十キロ離れているという場合も多くあり、実質的に、最寄りの公証役場を利用せざるを得ないというのが実情でした。
今後、Web会議システムを利用したリモート面談での公正証書の作成が普及すれば、お住まいの地域に縛られずに、全国から任意の公証人に公正証書の作成を依頼できるようになります。
公証人の方もそれぞれで、サービス精神豊かな方もいらっしゃれば、中には協力的ではないと言わざるを得ないような方もおられます。
今後はもしかすると、人気のある公証人に依頼が集中するといったことが起きるのかもしれません。
公証役場を訪問した場合には、公証人手数料を現金で支払うことが通常ですが、すでにクレジットカード決済による公証人手数料を支払うことも可能になっています。
Web会議システムを利用したリモート面談により公正証書を作成する場合には、公証人手数料を振込み、または、クレジットカード決済の方法で支払うこととなります。
はじめに、どんな内容の公正証書を作成したいのか、契約内容について、こちらの希望を伝える必要があります。
離婚するので養育費の支払いについて取り決めをしたい、相続分の指定をする遺言書を作成したいなど、各々の希望や目的を伝えて相談をはじめます。
このときに、どんな約束・契約をするのかは、事前に自分たちで考えておかなければなりません。
公証人はあくまで中立の立場であり、依頼者の契約を公正証書にするというスタンスです。
そのため、公証人から依頼者に対して、「〇〇の条件にすると良い」といったように、助言・提案をすることは基本的にありません。
通常は、あらかじめ自分たちで離婚協議書や合意書などを作って、それを希望として公証人に提示して、その内容に沿って公正証書を作成してもらいます。
このときに無効な内容が含まれていたり、そもそも公正証書の作成に馴染まない内容である場合には、公正証書の作成を断られてしまうことがあります。
公証役場への公正証書作成の依頼は、当事者が二名いる場合でも、(事前に合意済みであれば)そのうちの一方から依頼することができます。
依頼・相談の時点では、両名が揃って公証役場を訪問する必要はありません。
あらかじめ用意した離婚協議書など依頼者の希望に基づき、公証人が公正証書の原案を作成してくれます。
条文の表現などの書きぶりは必要に応じて修正をしてくれますが、はじめから無効な内容が含まれていないことが大前提です。
公証人の作成する公正証書案文は、実際に公証役場を訪問して公証人との打ち合わせの際に紙で提示されることもありますし、電子メールに添付してPDFデータで提供されることもあります。
公正証書案文のイメージ画像(離婚)
公証人から提供された公正証書案文の内容が希望どおりになっているか確認します。
公正証書はもちろん人の手で作られます。
まれに、甲乙の表記が誤っていたり、誤字・脱字が見つかることもありますので、きちんと確認します。
当事者が二名いる場合には、必ず契約の相手方にも内容を確認してもらうようにしてください。
後日、実際に公証役場を訪問してサインする直前になって、「思っていた内容と違う」などと言いがかりをつけられて、サインに応じてもらえないといったことが無いようにしておく必要があります。
公正証書案文の確認が済んだら、公証人に対して内容確認が済んだ旨を伝えて、次は訪問日の予約に移ります。
訪問日は、公証人のスケジュールとこちらが希望する日をすり合わせて、日程の調整をします。
通常は、こちらの希望する日時を複数提示するように求められます。
「〇月〇日:午後可、〇月〇日:終日可」といったような形で、訪問可能な日時を複数伝えます。
日程の調整は、公証人本人とのやり取りで決めることもありますが、ほとんどは担当の書記の方とやり取りすることが多いです。
訪問日時が決まりましたら、書記の方から、当日の持参物と、窓口で支払う手数料の金額を案内してくれるはずです。
もし案内がない場合には、こちらから持参物と手数料の金額を聞いて確認するようにしましょう。
予約した日時になりましたら、実際に当事者が公証役場を訪問して、署名と公正証書の受け取りをします。
予約時間は、手続きスタートの時間と考えて、数分前には公証役場を訪問するようにしましょう。
窓口で、予約時間と氏名を伝えれば、打ち合わせ用のスペースに案内してもらえます。
リモート会議方式での作成を希望し、(公証人から認められた場合には)これらの方法で公正証書を作成することもできますが、当事者本人が役場を訪問する方法が基本です。
代理人による手続きが認められている場合には、本人に代わって代理人が公証役場を訪問します。
代理人よる場合には、あらかじめ代理人の身分証明書(運転免許証orマイナンバーカード)を公証役場側に提示し、訪問日の当日もこれら身分証明書の原本を持参する必要があります。
また、訪問当日までに委任者が実印で押印した委任状を作成し、当該委任状と、委任者本人の印鑑証明書も、代理人が持参しなければなりません。
当事者を目の前にして、公証人が公正証書の全文を読み上げます。
公証人は、パソコン端末に表示されているデータを読み上げますが、当事者にはプリントアウトした紙が交付されますので、それを見ながら最終確認をする場合が多いです。
公証人の読み聞かせが済んだら、次は公正証書へのサインをします。
公正証書は電子データで作成されますので、公証人から指示されたパソコン等の端末画面の所定の箇所に、タッチペンを利用して、電子サインをします。
電子サインは、タッチペンで自分の氏名を書くだけですので、何も難しいことはありません。
クレジットカード決済の際に、タッチペンでのサインを求められることがありますが、それと同じイメージです。
代理人による手続きをする場合には、代理人が委任者に代わって、代理人の氏名をタッチペンでサインします。
当事者がタッチペンで電子サインした公正証書データに、公証人が電子署名をして、保存します。
このデータが公正証書の原本として、公証役場に保管されます。
本人には、紙の正本(相当の書面)が交付されます。
ただ、こちらから希望しないとこの紙の正本(相当)を交付してくれない役場もあるようですので、事前に紙の正本(相当)を交付してくれるのか確認しておく必要があります。
また、正本(相当)の発行に手数料がかかることもありますので、料金を含めて事前に確認するようにしてください。
電子データの交付を希望することもできます。
その場合には、CD-Rにデータを入れて交付してくれます。
その場ですぐにCD-Rを作成する時間がない場合には、後日、郵送で送付してくれる役場もあります(郵送実費は本人が負担)。
ただ実際には、正本(相当)の紙ベースの交付を希望される方が多いです。
お勤め先、銀行や医療機関などへの提示など、実際の運用では、これまでと同様に基本的には正本(相当)の紙ベースの書面を提示を求められることが多いです。
そのため、公正証書の電子データをCD-Rで受け取る場合でも、必ず、紙でも発行してもらうようにしてください。
電子データと正本(相当)の紙ベースの書面の両方を交付してもらうこともできます。
公正証書は「自分たちだけで作れる」と思われがちですが、公証人はあくまで中立の立場。どのような条項がお客様にとって最適かといったことを積極的に助言してくれるわけではありません。
たとえ契約書のひな形を持ち込んで公正証書化できたとしても、その内容が本当にご自身にメリットのあるものとは限りません。
また、将来のトラブルを防ぐための必要な工夫も、インターネットのひな形には反映されていないケースがほとんどです。
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