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婚前契約書に記載できない内容

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記事の執筆者(行政書士 大谷一也)
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無効になってしまう内容とは

婚前契約書(結婚契約書)の法的効果を理解するための4つのポイント。

3つ目「婚前契約書に記載できない内容」について説明します。

婚前契約書は、お二人の約束ごとをある程度自由に作成することができます。

しかし、もちろんどのような内容でも、好きなように記載できるという事ではありません。

ルールに反した約束ごとを婚前契約書に記載しても、無効になってしまいます。


どんなことを書くと無効になってしまうのかについては、婚前契約書を作成するうえで必ず理解しておかなければなりません。

公序良俗に反する内容

婚前契約書の中身は、契約を交わすおふたりの約束です。

本来、婚前契約書はその内容を自由に決めることができるものです。

民法には、「契約自由の原則」と呼ばれる基本的な考え方(ルール)があります。

契約書を交わす当事者は、無効な条件でない限り、自由に契約(約束)できるというルールです。


ただし、契約自由の原則にも例外があります。

公の秩序や善良な風俗(社会的に相当な一般常識)に反する契約をすることはできません。

民法90条 公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。

この民法90条は、社会一般の基本的なルール、一般常識や社会通念からかけ離れた取り決めや、反社会的な契約をしても、無効になるということを言っています。

なお、このルールに違反した取り決めをして無効になってしまうことを、「公序良俗違反」と呼んだりします。

たとえば、金銭の対価として性的関係を約束する愛人契約は、公序良俗違反により無効になる典型例としてよく挙げられます。

一般常識や、一般道徳・良識を無視した契約をしても無効になるため、婚前契約書(結婚契約書)に盛り込むことができません。

不相当に過大な条件を定めても無効になる

契約条件が、不相当に過大なときも無効になってしまう可能性があります。

不相当に過大な内容としてよく問題になるのが、不貞行為の慰謝料や違約金の支払いに関する定めです。

少し大袈裟ですが、具体的には不貞行為を行った場合は1億円支払うといった条件がこれに当たります。

このような条件を婚前契約書に書いてほしいという方も、決して少なくありません。

本来、不貞行為の慰謝料の相場は、数十万円から多くても300万円程度が上限と考えらえます。

これに対して1億円という金額は、あまりにも過大でありそのような条件の契約をしても、無効になってしまうのです。

また、普通の人であれば1億円という慰謝料を支払うことは、現実的にも不可能です。

現実的に支払いが不可能である契約をするということは、言い換えれば初めから守るつもりのない契約をしているのと同じことであるとも言えます。

不法な行為を契約の条件にすることはできない

不法な行為を条件にするとは、例えば『泥棒をしたら、100万円あげる』といった法律に反する行為を条件とすることを言います。

このような不法な行為を条件とする契約は、無効です。

また逆に『泥棒をしなかったら、100万円あげる』この内容でも無効になってしまいます。

後者は、泥棒しないこと(社会的に良いこと)を条件にしているので問題ないのではないか?とも考えられます。

しかし、「泥棒する、しない」、という不法な行為を条件にすること自体が無効とされています。

その理由は、泥棒しなかったら100万円あげるという約束をしてしまうと、

「100万円をあきらめれば泥棒してもいいのではないか、、」との気持ちが形成されてしまうからであるとされています。

少し混乱するかもしれませんが、いずれにしても泥棒ように不法なこと(反社会的なこと)を契約の条件にすることができないというルールがありますので、婚前契約書に盛り込むことはできません。

無効な内容が含まれているとどうなるの?

婚前契約書に、無効な内容が含まれていても、基本的にはその無効な部分のみが一部無効になります。

婚前契約書全体が無効になる可能性は少ないです。

婚前契約書に誤って無効な内容が含まれていても、基本的には契約書全体が丸ごと無効になるということは考えにくいです。

無効な部分のみが効力を生じないという扱いになります。

ただ、無効な内容が含まれている婚前契約書は、書面全体の信頼性が下がるという影響は否めません。

無効な内容が含まれるということは、おそらく婚前契約書の作成に専門家が関与しておらず、自分たちの手作りの婚前契約書であるのでしょう。

そのような専門家の関与していない婚前契約書を安易に交わしてしまうと、婚前契約書の存在が、逆にトラブルの原因となってしまうこともあります。

婚前契約書で定める内容は、どれもお二人にとって重要な取り決めであるはずです。

仮に、「婚前契約書に書いてあるから〇〇と考えていた」にもかかわらず、その内容が無効であり、効力を生じないとすれば、想定と異なることになってしまいます。

夫婦関係が円満であれば問題が表面化することはありません。

しかし、夫婦関係がうまくいかなくなったとき、婚前契約書に無効な内容が含まれているというのは、お二人の関係性や立場をさらに不安定なものとする原因になってしまう可能性があります。


 

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