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結婚契約書(婚前契約書)の法的効果を理解するための4つのポイント。
1つ目「夫婦の内部的な契約」について説明します。
婚前契約は、夫婦の内部的な契約であり、夫婦間の権利と義務を定めた契約です。
言い換えれば、お二人の間で交わした契約内容を第三者(他人)に主張するものではありません。
分かりやすくするため、具体的な事例にして説明します。
仮に次のような婚前契約を交わしたとします。
アパートの賃料は、夫が全額負担する。
このような婚前契約をした後、アパートの大家さんが、妻に月々の家賃を支払うよう求めたとします。
このときに、妻は、婚前契約で「家賃は夫の負担」と契約しているからといって、
アパートの大家さんに対して、
婚前契約の存在を主張して家賃の支払いを拒むことはできません。
婚前契約書(結婚契約書)は、おふたりの間に生じる権利と義務を定めた契約です。
そのため、妻は大家さんに対して、「家賃は夫の負担と契約をしているので夫に請求してください。」と、支払いを拒むことはできないのです。
妻は、仕方なく大家さんに家賃を支払いました。
そこで妻は、夫に対して、自分が夫の代わりに支払った家賃を返金するよう、
夫に対して、
婚前契約書に基づき家賃の支払いを請求することができます。
婚前契約書を交わした本人の間では、婚前契約書の定めに基づき法的請求をすることができるのです。
これが婚前契約書を作成するメリットとなります。
「婚前契約書は、他人に効果を主張できないので意味がないのでしょうか?」
このような質問を頂いたことがありますが、そもそも婚前契約は、他人に主張するために交わす契約ではないと言えます。
夫婦間において、財産・生活・浮気に関する取り決めをしておけば、契約した夫婦の間では法的効果が生じます。
そして取り決めた約束の内容を契約書として書面化することで、権利義務関係の存在を証明することができます。
そのため、夫婦間でのトラブルを未然に予防することができます。
夫婦間での権利、義務、約束を明確にしておけばそれで足りるのです。
夫婦で交わした財産に関する婚前契約を、第三者(他人)にも主張できるようにしたいという場合は、「夫婦財産契約」を交わした後に、別途、法務局に登記するという特別な制度を利用する必要があります。
夫婦財産契約を交わして、契約内容を第三者にも主張できるようにする場合は、入籍までに契約を交わし、さらに契約内容を法務局に登記するという特別な手続きをしなければなりません。
このような手続きを経てはじめて、第三者(他人)にも夫婦間の契約内容を主張することができるようになります。
夫婦財産契約制度を利用すれば、上記のアパートの家賃の例で、第三者である大家さんに対して「家賃は夫の負担なので夫に請求してください。」と主張することができるようになります。
しかし、実際には、財産関係の契約も夫婦間で効力を持たせることができればそれで足り、第三者に効力を主張する必要がない(実益がない)ため、
夫婦財産契約を交わした後に登記までする夫婦は、日本全国でも年間にわずかしか登録実績がありません。
結婚後の夫婦生活は、数十年続くことになるので入口である入籍時にしっかりと約束を交わしておくことが重要です。ここで手間をかけることで将来に大きなちがいが生じる可能性があります。当事務所では、これまでに多くの婚前契約書を作成した実績を有していますので、お困りの方はぜひ一度ご相談ください。
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