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「離婚する」と騙されて不倫したときの慰謝料と責任

日本行政書士連合会 登録番号14130747
行政書士アークス法務事務所
記事の執筆者(行政書士 大谷一也)
行政書士イメージ

夫婦・男女問題に関する各種書類作成の専門家です。2014年の開業からこれまでの間に、延べ8,000件以上のご相談に対応し、3,000件以上の受託実績をもつ、夫婦・男女問題に関する法務サービスのスペシャリスト。

「妻とはうまくいっていない」「来月には離婚届を出す」

そんな言葉を信じて交際を続けた結果、男性は家庭に戻り、あなたは妻から慰謝料を請求された……。


“騙された側なのに責任を負うのか” という疑問や、減額方法など、夫婦・男女問題を延べ 8,000 件以上サポートしてきた行政書士が答えます。

また、「離婚する」と言いながら離婚しなかった男性本人に、慰謝料を請求できるのかについても説明します。

なぜ既婚男性は「離婚する」と言うのか

「離婚する」と説明する男性の心理と典型的な言葉

  • 「夫婦仲は冷え切っている」
  • 「別居中で離婚協議をしている」
  • 「子どもが大きくなったらすぐ離婚する」

こうした言葉の背景には、女性との交際を続けたい、既婚者と交際することへの女性の抵抗感や罪悪感を和らげたい、といった男性の心理が働いている可能性があります。

「妻とはもう終わっている」「いずれ離婚するから心配しなくてよい」と説明することで、女性に安心感を与え、交際関係を維持しようとしている場合も考えられます。

当事務所にも、既婚男性から「妻とは離婚協議中だから心配しなくてよい」「妻と離婚したら結婚できる」と説明され、その言葉を信じて交際を続けていた女性からの相談が寄せられています。

実際には、男性の配偶者のSNSなどから説明に疑問を持ったケースや、男性本人に問いただしたところ、離婚協議をしていなかったと認めたケースもあります。

もっとも、男性が最初から女性を騙すつもりだったのか、当初は本当に離婚を考えていたのかは、個別の事情によって異なります。

大切なのは、「離婚する」という言葉と、実際に離婚に向けた行動を取っていることは別だと理解しておくことです。
 

女性が信じやすい心理的背景

「家庭を壊す加害者になりたくない。むしろ彼を支える存在でいたい」

そんな気持ちから、事実確認が不十分になってしまうことがあります。

多くの女性は、相手男性の家庭を壊すことにはさすがに気が引けると感じるものです。

しかし「もう家庭は崩壊している」と聞かされると、罪悪感がやわらぎ、

「いずれ離婚するなら、今は我慢しよう」といった心理に陥りやすくなります。

「離婚する」と言われても慰謝料責任を負う場合

最終的に男性が家庭に戻ってしまう——。

さらに、男性の妻から慰謝料を請求されるような事態になれば、女性にとってはまさに踏んだり蹴ったりです。

ここで注意すべきなのは、「妻とは離婚するつもりだ」という男性の言葉を信じていたとしても、

女性側の不倫に対する責任が免れるわけではないという点です。

「相手男性から、夫婦関係はすでに破綻していて、いずれ離婚すると聞いていた」

「私は家庭を壊すつもりはなかった」——こう主張したとしても、不倫の責任から完全に逃れるのは難しいのが現実です。

もちろん、最終的な判断は個別の事情によりますが、一般的にはこのような主張だけで責任を免れることは困難です。

裁判例が示す厳しい判断基準 

裁判では、男性から「夫婦関係は破たんしている」と聞いていたとしても、その説明を信じた事情などを踏まえて、慰謝料の支払義務があるかどうかが判断されます。

たとえば、男性の妻から慰謝料を請求された女性が、

「夫婦関係はすでに破綻していると聞いていたので、私は責任がない」と主張した場合、

その言い分が裁判で通るかどうかが問題になります。

この点について争われた裁判の判決内容を、次に紹介します。
 

パターン1

結婚していると知った後も、男性の「夫婦関係は破たんしている」という言葉を信じて、関係を解消しなかったケース。

(はじめは結婚していると知らなかったとしても)平成15年頃には婚姻の事実を知るに至ったというのであるから、その後も夫婦関係が破たんしているとの説明を鵜呑みにして、漫然と不貞関係を継続したことは、不法行為となるというべきである。(大阪家庭裁判所平成21年3月27日)

この裁判では、交際の途中で相手が既婚者であることを知った後も、

「夫婦関係は不仲だ」という男性の説明をそのまま信じて交際を続けた点について、

女性に慰謝料の支払い義務があると判断されました。
 

さらに、同じように「夫婦は破綻していると聞いていた」と主張した別の女性が争った裁判例もあります。

次に紹介するその判決内容についても、一部を分かりやすく言い換えてご紹介します。
 

パターン2

もう一つ、女性が同じように「夫婦関係は破たんしている」という男性の言葉を信じて、自らの責任の有無を争った別の判例を紹介します。

まだ夫婦は別れておらず、離婚もしていないため、(不倫相手は)婚姻関係が破たんしていたと認識していたとまでは言えず、そのおそれがあるという程度の認識で、破たんしていることを希望していたにすぎないというべきであるから、不貞行為による不法行為責任を負うべきである。(東京地方裁判所平成25年9月27日)

この裁判では、女性が男性から「必ず離婚する」などと説明されていたものの、実際に夫婦関係が破たんしていると認識していたとはいえず、破たんすることを期待していたにすぎないと判断されました。


このように、女性側が「夫婦関係が破たんしていると聞いていたから、自分に責任はない」と主張したとしても、認められないケースがあります。

減額や責任なしが認められる場合とは?

慰謝料が減額される可能性はある

「夫婦関係はすでに破たんしていた」「不仲だと信じていた」といった理由で、

不倫の責任を免れようとする主張は、一般的には認められにくいことがわかりました。

ただし、「夫婦が不仲だと信じていた」という事情がまったく考慮されないわけではありません。

実際の裁判例の中には、男性から「夫婦関係はうまくいっていない」と告げられ、

その言葉を信じたという事情が、慰謝料の減額要素として評価されているものもあります。

つまり、もし相手男性に騙されていた場合には、

その事情をもとに慰謝料の金額を減らしてもらえる可能性があるということです。

とはいえ、あくまでも「減額の材料になり得る」というだけで、

不倫の責任そのものを完全に免れることは難しいと考えておくべきでしょう。

不倫が始まった時点で破たんしていた場合→責任なし

相手男性の話が事実で、本当に夫婦関係が破たんしていた場合もあるでしょう。

このように、「不倫が始まった時点」で、すでに相手の夫婦関係が破たんしていたのであれば、女性が慰謝料を支払う責任は原則として生じません。

ただし、ここで重要なのは、不倫関係が始まるよりも前に、夫婦関係が破たんしていたかどうかという点です。

後から夫婦関係が破たんしたとしても、それだけで不倫の責任がなくなるわけではありません。

また、実際には破たんしていなかった場合でも、女性が破たんしていると信じたことに相当な理由があれば、慰謝料の支払義務が認められないこともあります。
 

どんな状況であれば「破たんしている」と言えるのか

どのような状態であれば、相手夫婦の関係が「破たんしている」と判断されるのでしょうか。

これについては、明確な法律上の基準があるわけではなく、実際の判断はケースバイケースとなります。

一つの目安として挙げられるのが、「離婚を前提とした長期間の別居」がある場合です。

たとえば、夫婦がすでに数年にわたって別居を続けており、その別居が関係修復に向けた前向きなものではなく、再構築のための話し合いも一切行われていないようなケースでは、

夫婦関係はすでに破たんしていると判断される可能性が高くなります。

ただし、「別居している」というだけで、直ちに夫婦関係の破たんが認められるわけではありません。

冷却期間として一時的に別居している場合や、関係修復に向けた話し合いが行われているようなケースでは、破たんしているとは評価されにくいため注意が必要です。

再構築に向けた話し合いが行われることなく、離婚に向けて、長期間別居しているような状況であれば、破たんしていると認められる可能性あり

別居が不倫の慰謝料に与える影響については、別ページ「別居中の不倫と慰謝料請求」で、よりくわしく説明しています。

独身であると騙されていた場合→責任なし

交際当初、相手が独身だと騙されていて、既婚者であることを知った後には不貞行為を行っていない場合には、基本的に責任を問われることはありません。

一方で、既婚者であると知っていながら、「すぐに離婚する」などの言葉を信じ続けて交際を継続したようなケースでは、責任を免れるのは難しくなります。

ただし、交際開始時点で独身だと信じていたことに合理的な理由があり、相手の既婚であることに気付かなかったことについて自らに落ち度がないといえる場合には、

相手の配偶者から責任追及をされても、責任はないと主張して反論することができます。

さらに、場合によっては、相手男性に対して「独身だと偽られて交際させられた」ことによる貞操権侵害を理由に、慰謝料を請求することも検討可能です。
 

騙した男性に対して慰謝料を請求できる場合

既婚男性から「妻とは離婚する」「離婚したら結婚しよう」などと言われ、その言葉を信じて交際していた女性が、男性に対して慰謝料を請求できる場合があります。

ただし、単に男性から別れを告げられたというだけでは、慰謝料請求は原則として難しいと考えられます。

貞操権侵害による慰謝料請求

男性が独身であると偽って交際していた場合や、既婚者だと知っていたとしても、男性の虚偽の説明を信じて性的関係を持った場合には、事情によって貞操権侵害を理由とする慰謝料請求が認められる可能性があります。

 

最高裁判所も、女性が男性を既婚者だと知っていた場合でも、男性の虚偽説明の内容や交際に至った経緯などを考慮し、男性側の違法性が著しく大きいと評価できる場合には、慰謝料請求が認められると判断しています(最高裁昭和44年9月26日判決)。

もっとも、男性が離婚を約束していたからといって、必ず慰謝料請求が認められるわけではありません。
 

実際の相談と示談書の作成経験

当事務所には、交際当初は男性から独身だと説明され、その後、既婚者であることが判明したものの、「妻とは離婚協議中だから」と説明され、交際を続けていた女性からの相談があります。

実際に、男性が独身であると偽っていたことと、妻と離婚協議中だと説明して交際を継続させたことの両方を認める内容を、示談書に記載した経験もあります。

また、当事務所では、貞操権侵害を理由とする慰謝料請求について、女性から内容証明郵便の文書作成をご依頼いただいた経験もあります。

当事者間で慰謝料の支払いについて合意している場合には、支払金額や支払期限、清算条項などを示談書に明記し、後日のトラブルを防ぐことが重要です。
 

慰謝料相場と減額交渉のコツ

不貞行為による慰謝料の相場と判断基準について

不貞行為の責任は、一般的に慰謝料の支払いによって償われるものとされています。

慰謝料の金額は、通常、数十万円から300万円程度の範囲内に収まることが多いです。

夫婦が離婚に至らない場合には、おおむね数十万円~150万円程度、離婚に至った場合には150万円~300万円程度が相場となります。

ただし、実際の金額は、不倫の態様や違法性の程度、夫婦が離婚したかどうか、未成年の子がいるかなど、個別の事情を総合的に考慮して判断されます。

慰謝料の減額には「だまされていた証拠」が鍵になる

慰謝料の減額交渉を行う際には、自分がどれほど巧妙に言葉で騙されていたかを、具体的に説明することが重要です。

相手男性が繰り返し、信じ込ませるような発言をしていたのであれば、「信じたのも無理はない」と評価され、こちら側の責任が一定程度軽くなる可能性があります。

「夫婦関係はすでに破たんしている」と信じても仕方がないと思わせる、説得力ある事実を提示する必要があります。

相手が一貫して「離婚するつもりだ」「夫婦関係は終わっている」といった趣旨の話をしていた場合には、その発言内容をしっかりと記録に残しておきましょう。

具体的には、LINEでのやりとりや、会話の録音などが証拠となります。これらをもとに、「自分には責任がない」あるいは「責任があったとしても減額に値する事情があった」と説明することが求められます。

逆に、そのような説明ができなかったり、証拠が何も残っていなかったりする場合には、減額交渉で相手から譲歩を引き出すのは難しくなるでしょう。

LINEやメール、通話や会話の録音など

客観的に確認できる形で保存することが重要です。

いつのやり取りなのか、日時の記録も残すようにしてください。

別居の有無を確認する資料

相手男性が「妻とはすでに別居している」と説明している場合には、別居を始めた時期や実際の生活状況などを確認することが重要です。

住民票の写しも住所を確認する資料の一つですが、住民票上の住所と実際に生活している場所が一致しているとは限りません。

そのため、住民票の住所が夫婦で同じだからといって、必ずしも同居しているとは判断できません。また、住所が異なっていても、それだけで婚姻関係が破綻していることにはなりません。

離婚協議のメモ、メールなど

離婚協議をしているというのであれば、配偶者との離婚協議の中身を実際に確認させてもらい、証拠として残しておくと良いでしょう。

行政書士の書面作成サポート

内容証明/示談書で再請求を防ぐ

相手方に対して慰謝料の請求や反論などを文書で伝える場合には、「通知書」や「回答書」を作成し、必要に応じて内容証明郵便で送付する方法があります。

たとえば、「騙されていた事情を相手に伝えたい」というご相談については、案件の状況を確認したうえで、ご本人名義の通知書や回答書などの作成をお手伝いします。

その後、相手との間で話し合いがまとまった場合には、「示談書(和解合意書)」を作成して、問題の解決を図ることになります。

適切な示談書を取り交わしておけば、和解の条件を明確にでき、後日になってから追加の請求や異議が出されることを防ぐことができるため、将来的なトラブルの予防にもつながります。

行政書士サポート

当事務所では、2014年の開業以来、累計3,000件以上の男女関係に関する書面を作成してきた実績があります。

行政書士は法律上、直接の仲裁や交渉はできませんが、書面作成を通じて、問題の解決をしっかりサポートいたします。

当事務所では、どなたでも安心して専門家にご依頼いただけるよう、明確で手の届きやすい料金設定を行っています。

プライバシー性の高い内容であるからこそ、誰にも相談できずに悩んでいる方も多いかもしれません。当事務所では、お電話やメールのやり取りだけで、契約書を完成させることができます。

周囲に知られたくないというお気持ちにも最大限配慮し、丁寧にヒアリングしながら書面を整えていきます。

ひとりで悩まず、不安な日々に終止符を打つために、今、勇気ある一歩を踏み出してみてください。

問題を解決するための契約書作成は、当事務所にお任せください!
不倫・浮気の誓約書と示談書

不倫・男女問題に強い行政書士が、皆さんの抱えている問題を解決するためオーダーメイドの法的書面を提案します。

期間・回数などの制限はなく、相談と修正すり合わせを繰り返ししながらご希望の法的書面を作成することができます。

FAQ:「離婚する」と騙された場合によくある質問

相手が既婚者と知ったうえで交際していましたが、突然別れを告げられました。相手に対してなにかできないでしょうか?

原則として慰謝料請求は難しいですが、例外もあります。

相手が既婚者であることを知って交際していた場合、突然別れを告げられたという理由だけで、慰謝料を請求することは原則として難しいと考えられます。

ただし、男性から「妻とは離婚協議中」「離婚したら結婚できる」などと虚偽の説明を受けていた場合には、交際に至った経緯や男性の説明内容などによって、例外的に貞操権侵害を理由とする慰謝料請求が認められる可能性があります。

詳しくは、本文の「騙した男性に対して慰謝料を請求できる場合」で説明しています。

相手の奥さんから慰謝料請求されたとき、彼が慰謝料を払うと言っています。

口約束でも合意は成立しますが、書面に残すことをお勧めします。

相手男性が「慰謝料は自分が全額支払う」と約束した場合、口頭であっても当事者間の合意として成立する可能性があります。

ただし、後になって男性が約束を否定した場合、口約束だけでは合意内容を証明することが難しくなります。

また、不貞行為について女性にも慰謝料の支払義務がある場合、男性との間で全額負担の合意をしていても、その合意だけで男性の妻から女性への慰謝料請求を防げるわけではありません。

そのため、男性が慰謝料を全額負担すること、女性が支払った場合には男性がその金額を負担することなどを、合意書に明記しておくことをお勧めします。

当事務所でも、このような慰謝料の負担に関する合意書の作成に対応しています。

夫婦関係が破たんしていないことを知りましたが、彼との関係を解消した方が良いでしょうか?

関係を続ければ慰謝料請求のリスクを負うことになります。

既婚者との不貞関係は、たとえ相手から「すぐに離婚する」などと騙されていた場合でも、相手の配偶者に対する責任を免れることは困難です。

直ちに関係を解消すべきと言えます。

どうしても関係を解消できないという場合には、少なくとも相手との間で慰謝料支払の分担・負担に関する取り決めをすべきでしょう。

無料相談

男女交際の解消の場面はトラブルが発生しやすいシーンといえます。後日の問題が再発しないように適切な対応をして解決することが重要になります。当事務所では弁護士等の意見も踏まえながら、これまでに男女問題、夫婦関係について数千件の契約書を作成した実績とノウハウを有しています。お困りの方はぜひ一度ご相談ください。

よくあるご相談

  • 手切れ金の支払義務を確かなものにしたい
  • 交際相手の配偶者から慰謝料請求されたときの取り決めをしておきたい
  • 性的な内容を含む写真や動画等を拡散されないようにしたい
  • 既婚者に騙されていたので慰謝料請求したい
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