夫婦・男女問題に関する書面作成と最新の情報を提供するサイト
夫婦・男女問題に関する各種書類作成の専門家です。2014年の開業からこれまでの間に、延べ8,000件以上のご相談に対応し、3,000件以上の受託実績をもつ、夫婦・男女問題に関する法務サービスのスペシャリスト。
夫婦が別居に至る理由は様々ですが、不倫は代表的な別居理由の一つです。
不倫した配偶者とひとつ屋根の下で顔を突き合わせて生活することは、場合によっては被害者の精神的苦痛をより増大させることがあります。
そのため、冷静に話し合いができるまでの間、夫婦関係を調整するため一旦離れて暮らすという選択をすることがあります。
今回は、別居の「期間」にフォーカスしてわかりやすく解説します。
1か月、数か月とするか、もしくは、夫婦が冷静に話し合うことができるまで当面の間とするか?
みなさん状況がそれぞれ異なるので正解はありませんが、
今後、夫婦関係の再構築を目指すのであれば、長期間の別居はできるだけ避けるべきと言えるでしょう。
一般的には、別居期間が長期になると夫婦関係の再構築がより難しくなります。
また、後述しますが、別居が長期間に渡ることによって、不倫をした有責配偶者からの離婚請求や、不貞行為の慰謝料請求にも影響を与える可能性があります。
別居スタート時には「どれくらいの期間別居するのか見当がつかない」というケースの方が多いと思います。
お互いに冷静になれない状況で、適切な別居期間を話し合って決めるというのは、とても難しいことです。
あらかじめ期間を決めなければならないといったルールはないので、
事前に期間を決めることができない場合は、別居期間を「当面の間」として、別居期間を明確にしないままにすることが通常です。
夫婦関係が正常の状態に戻る兆しが見えるまで、当面の間、別居するということになります。
そして将来タイミングを見計らって、再び同居するか、別居を続けるか、もしくは離婚するかの話し合いをすることとなります。
別居する前に別居期間を1か月、半年、1年などと決めたうえで、別居をはじめるケースもあります。
目安となる別居期間を決める理由は、別居期間についてお互いに誤解がないようにするためです。
夫婦の一方は、1か月程度の別居だと考えているのに、他方は、離婚を前提にしているといった誤解がないようにしなければなりません。
事前に決めた別居期間が経過したときに、改めて同居するか、それとも、このまま別居を続けるのか、話し合うことになります。
もちろん約束した別居期間が経過する前であっても、夫婦の話し合いで合意に至ればいつでも別居を解消(同居)できます。
一定の別居期間を決める場合は、どれくらいの期間があれば冷静に向き合うことができるのか検討する必要があります。
約束した別居期間が満了したときに話し合いを行い、まだ別居を続ける必要があればそのまま別居を継続し、
その後二度目の別居期間が経過したときに、再び話し合いをするという流れになります。
未成年の子どもがいる場合、夫婦の別居は、言うまでもなく子どもにも大きな影響を与えます。
子供に与える影響を優先して考えるのであれば、一般的には、別居期間は短い方が望ましいでしょう。
通常、未成年の子自身は、両親が離れて暮らすことを望んではいません。
別居による子どもへの影響を最小限に抑えるため、別居中も定期的に離れて暮らす親と子供の面会交流を実施することが必要であるとされています。
子どもの健全な成長と、子どもの情緒安定のためにも、離れて暮らす一方の親と子どもとの面会交流を継続して実施すると良いでしょう。
しかし、別居の原因がDV(家庭内暴力)や虐待、暴言といった暴力的行為である場合には事情が異なります。
このような場合には、面会することが逆に子供の健全な成長に悪影響を与えてしまうため、逆に、面会交流の制限を検討する必要があります。
別居中の子供との面会については、以下のページで詳しく説明しています。
別居中のトラブルを予防するためには、十分な話し合いが重要です。
夫婦の一方の思い込みや、強い主張でお互いに納得しないまま別居をはじめてしまうと、その後に様々なトラブルが生じる可能性があります。
例えば、生活費の不払い、子どもとの面会、不貞行為、同居・離婚のタイミングなどトラブルが生じる原因は多くあります。
別居中はお互いに離れて暮らすことになるため、一度トラブルが生じてしまうとスムーズに解決することが難しくなります。
安定した別居生活を過ごせるかどうかは「別居スタート時において夫婦でどれくらい十分な話し合いをすることができるか」にかかっています。
夫婦関係が円滑ではなくなってしまった状態で、お互いが納得するまで十分に話し合うことはハードルが高いかもしれません。
しかし、お互いが納得しないまま、無理に別居を強行してしまっては後にもっと大変な問題を抱える可能性があります。
急がば回れの精神で、別居スタート時には根気強く話し合いを重ねる必要があります。
別居が長期間におよび、さらに夫婦の間で関係の再構築に向けた話し合いもまったくされないというケースがあります。
このようなケースでは、長期間の別居によって(まだ離婚には至っていないが)すでに夫婦関係が「破たんしている」とみなされてしまうことがあります。
もし、夫婦関係が破たんしている状況になってしまうと、別居中に不貞行為があっても、その責任も追及できなくなる可能性があります。
夫婦関係が破たんしていると判断されないようにするために、離婚を前提とした別居ではなく、夫婦関係の再構築に向けた別居であることを夫婦間で確認しておくと良いでしょう。
さらに、実際にも定期的に夫婦関係の再構築に向けた話し合いをすると良いです。
このときに、
夫婦の一方は「再構築、冷却化のための別居」と考えているのに、他方は「離婚を前提とした別居」と考えている。
このような誤解が生じないようにしなければなりません。
「婚姻費用(生活費)の分担に関する契約書」において、離婚を前提とした別居ではなく、再構築に向けた別居である旨を明記しておくと良いでしょう。
別居期間中に夫婦それぞれが形成した財産は、
夫婦共有財産には含まれず、その後に離婚に至ったときでも、財産分与の対象に含まないという考え方があります。
別居を経た後に離婚に至り、財産分与をするときには、別居をはじめた時点の財産を対象として、財産分与が行われることが一般的です。
別居した後に、各々の名義で取得した財産に関しては、離婚時の財産分与の対象にはならない可能性が高いということを覚えておいてください。
不倫の被害者側である配偶者が離婚を拒否しているにもかかわらず、
不倫をした有責配偶者から一方的に離婚請求することは、社会正義に反するとされています。
そのため基本的には、不倫をした有責配偶者からの離婚請求は認められません。
しかし、別居の期間が相当な長期間におよんだ場合には、不倫をした有責配偶者からの離婚請求であっても認められることがあります。
相当な長期間のひとつの基準として、過去の判例から7、8年という期間を目安にすることができます。
この期間は、10年程度必要という見解もありますし、もっと期間が短くても、数年で有責配偶者からの離婚請求が認められるという見解もあります。
上記の、7、8年という期間は、あくまでも目安であり、個別の事案によってケースごとに判断されます。
いずれにしても、複数年という長期の別居を経過した後は、不倫をした有責配偶者からの離婚請求も認められる可能性がありますので、注意しなければなりません。
別居をスタートする際に「〇年間別居した後に離婚する」という約束をする、または約束をしたいと考えている夫婦があります。
経済的な理由から今すぐ離婚することができないが、将来的に離婚することが二人の話し合いの中で決まっているというケースです。
しかし、将来離婚するという約束は離婚予約などと呼ばれていて、基本的には無効な契約であるとされています。
そのため、「〇年間別居した後に離婚する」という約束をしていた場合であっても、夫婦の一方が離婚を拒めば離婚が強制されることはありません。
実際に離婚するその時点において、改めて夫婦が離婚に合意する必要があります。
○年後に離婚するといった約束をしていたとしても、その約束に縛られることはありません。
ただ、そのような約束をしたという事実は残りますので、もし離婚する、しないについて夫婦間に争いが生じたときには、強制されることはなくても、過去にそのような約束をしていた事実が考慮されることは十分考えられます。
何も手当せずに安易に別居してしまうと、別居中の婚姻費用を確保できないだけでなく、不貞行為の慰謝料請求においても不利に作用する可能性があります。また、別居期間が長期間に渡る可能性がある場合には、契約書を公正証書として作成することをおすすめします。当事務所では弁護士等の意見も踏まえながら、これでに男女問題、夫婦関係について数千件の契約書を作成した実績とノウハウを有しています。お困りの方はぜひ一度ご相談ください。
よくあるご相談