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別居をはじめる前に、別居中の婚姻費用(生活費)について、書面で約束するようにしてください。
もし可能なら公正証書まで作成することをお勧めします。
毎月の婚姻費用(生活費)の約束を口約束だけで済ませてしまっては、何も約束していないのと同じです。
今回は、別居に関する契約書や公正証書について、徹底解説します。
別居するということは、すでに夫婦のコミュニケーションは上手く取れていない可能性が高いと考えられます。
「今までどおり生活費を支払ってくれるだろう」と、おふたりのこれまでの信頼に基づいて解釈することは、危険であると言わざるを得ません。
夫婦関係が別居するほど悪化している状況では、配偶者がこれまでに見せなかったような一面を見せることがあります。
また、別居のきっかけとして、夫の不倫や借金、暴力などが原因になっているケースがあります。
これらの問題の解決に振り回されてしまい、別居後の生活費について十分に話し合いをしないまま、別居をはじめてしまうことが少なくありません。
「別居中も生活費はこれまでどおり」といったように、
大雑把な口約束だけで別居してしまうと、万一、考えていたとおりに生活費が支払われなかったときに問題を解決できなくなってしまいます。
別居の契約書では、婚姻費用の支払についての取り決めがもっとも重要になります。
月々の金額だけではなく、支払期日、支払方法まできちんと記載します。
一般論として、夫の収入が高く、妻の収入が低い(または主婦)という場合には、収入の多い夫が妻に対して婚姻費用を払うことになります。
また、別居中、夫だけが経済的に余裕のある暮らしをして、妻と子どもが生活に困窮するといったことがないようにしなければなりません。
婚姻費用の目安となる金額は、家庭裁判所が参考となる基準表を公開しています。
「婚姻費用算定表」と呼ばれるこの基準表を利用して、婚姻費用の相場を知ることができます。
次の3つを基準表にあてはめれば、具体的な相場の金額を知ることができます。
夫婦それぞれの収入
子の人数
子の年齢
婚姻費用算定表のイメージ
「婚姻費用算定表」は、こちらのリンクから確認できます。
子どもの人数と年齢によって、別々のシート(表)が用意されているので、子どもの人数と年齢に合ったシート(表)をひとつ選択します。
選んだ表の左側のタテ軸が、婚姻費用を支払う側の年収、ヨコ軸が、婚姻費用を受け取る側の年収となります。
両者の年収がクロスする部分に書かれている金額帯が、婚姻費用の目安となる基準金額となります。
なお、この基準表の金額は、あくまで参考金額のため、夫婦の話し合いで金額は自由に決めることができます。
もし不倫が原因で別居に至った場合は、「不貞行為を原因として別居する」ことを記載します。
夫婦の一方の不倫が原因でやむを得ず別居を始めたにもかかわらず、
後になってから「単なる性格の不一致だった」といったように、何も責任がなかったかのような言い訳をされないようにするため、念のため別居の原因を記載しておきます。
また、もし別居中に不貞行為があったときに、別居により夫婦関係が「すでに破たんしていた」と言われてしまうと、不倫した本人に責任追及することが難しくなってしまいます。
それを防ぐために、
離婚を前提とした別居ではないこと、あくまでも夫婦関係の再調整を目的とした別居であること(破たんはしていないこと)を書くことがあります。
そうすることで、夫婦関係の破たんを理由とした、不貞行為の責任逃れを防ぐことに役立ちます。
もし別居期間がある程度決まっている場合は、合意書に期間を記載します。
「〇年〇月から〇年〇月まで別居する」と、別居期間を設定しても良いですし、「1年間に限り別居する」としても構いません。
期間を設定する場合は、別居期間が終了した時点で、このまま別居を続けるのか、同居するのか、それとも離婚するのか話し合うという約束をするケースが多いです。
ただ、一般的には別居する期間については、何も決めていない(決められない)という場合の方が多いと思います。
そのときには「当分の間別居する」というようにして、明確な期間は書かないようにします。
また、別居期間については、以下のリンクページでくわしく説明しています。
夫婦に未成年の子どもがいる場合には、別居中どちらが子どもと同居するのか決めておきます。
別居中はどちらと一緒に生活するのか、どちらが子どもを監護するのかを合意書に記載します。
別居中の子どもとの面会頻度(月に〇回程度)や、面会の方法を契約書に記載することもできます。
別居中であっても、結婚している間は、夫と妻の双方が共同して子どもに対する親権を行使することになります。(共同親権の状態が続きます)
面会することによって、子どもの福祉や情緒安定に悪影響があるなどの特別な事情がない限りは、面会の機会を設けるべきであるとされています。
別居中の子どもとの面会交流については、別ページ→「別居中の子どもとの面会」でも説明しています。
別居で住居を出ていく一方は、別居前の住居に何らかの共有財産を置いて出ていくことになるはずです。
共有財産を住居に置いたまま別居をはじめ、その後、離婚に至ることも可能性としてはあり得ることです。
離婚時に、夫婦共有財産の分割について話し合いを始めたところ、
「既に財産は処分してしまった」「そもそもそのような財産は存在しない」といったトラブルが生じることが考えられます。
そのようなトラブルを予防するために、もし重要な共有財産がある場合は、その取扱いについて、合意書に記載することがあります。
たとえば子の学資保険を解約しないことや、〇〇銀行の預貯金を無断で引き出さないことなども、この共有財産に関する取り決めの一つといえます。
別居中でも、もちろん貞操義務が存在します。
夫婦が別々に離れているからといって、不貞行為を行っても良いということはありません。
別居中に不貞行為があった場合には、慰謝料の請求をすることができます。
このことを配偶者が勘違いしていると、別居によって緩んだ異性関係でさらに夫婦が険悪となり、冷静に話し合いをすることができなくなってしまいます。
別居中の不貞を抑止するために「別居中も貞操義務を負っていること」「不貞行為を行ってはならないこと」、「慰謝料の支払い」などを確認する条文を盛り込むことがあります。
特に別居の原因が不倫である場合には、別居中に同じ不倫相手と親密になられては、たまったものではありません。
なお、別居が不貞行為の慰謝料請求に与える影響については、以下のリンクページでくわしく説明しています。
別居中に音信不通とならないよう、連絡先や住所を変更した際には、通知することを約束しておきます。
また、別居期間中に転職するなど環境に大きな変化があった場合には、生活費の支払いに影響するため、そのような場合にも通知してもらう必要があります。
ちなみに、連絡先を変更する前から事前に新しい番号を知らせることはできないため、変更後、直ちに報告・連絡することを定めることとなります。
婚姻費用(生活費)とは、主に食費や住居費など生活に関する費用のことをいいます。
日用品の購入や、被服・衣料費、電話・インターネットなどの通信費も生活に関する費用です。
さらに、医療費、子の養育に関する費用、交通費、常識的な範囲内の娯楽費なども、相手に負担を求めることができる婚姻費用(生活費)に含まれるとされています。
これらの費用が、1か月あたりどれくら必要か計算したうえで、実際にいくら負担してもらえるのか、話し合いで決めていくことになります。
上記でも説明した裁判所の基準表の金額を参考にして、毎月の支払金額を決めていくことになりますが、基準表の金額では不足するというケースが多いため、
当事務所に依頼をいただくお客様は、基準表の金額よりも高い金額で合意に至るケースの方が多いです。
住居費は、婚姻費用(生活費)に含まれると考えます。
そのため妻は、夫へ別居中の生活費として住居費の負担を求めることができます。
妻と子どもが持ち家の自宅で生活し続ける場合でも、住宅ローンは夫名義の銀行口座から引き落としで支払うというケースが多いと思います。
その場合、住宅ローンはそのまま引き落としで負担してもらい、その他に現金で〇円を支払うという取り決めをすることが多いです。
また、住宅ローン以外の生活費の金額を明確にせず、あえて曖昧(あいまい)にしておきたいと希望する方がいます。
しかし、支払金額を曖昧(あいまい)にしてしまうと、後日万が一、不払いが生じたときに不利に働く可能性がありますので、契約書上では金額をきちんと明確にすることが重要です。
市区町村から支給される児童手当について、振込先として夫名義の口座を指定しているケースが多いと思います。
妻と子どもが一緒に暮らす場合には、夫から妻に対して、児童手当が支給された月(2月、6月、10月)には、
給付された児童手当を婚姻費用に加算して支払う旨を規定しておくと良いでしょう。
子どもの学費について、高校・大学入学時には、ある程度まとまったお金が必要になります。
毎月受け取る生活費ではぎりぎりという場合には、入学金などの費用を用意することが難しくなることがあります。
子どもの学費や入学金については、別途夫が負担する、もしくは、別途その支払いのタイミングが来た時点で、分担する金額ついて協議するという約束をしておきます。
もし、現時点でそんな先のことまで分からない、合意できないという場合は、
少なくとも一定割合を負担することのみ約束してもらい、
具体的な金額については、その時になって改めて協議するという条件が、現実的な落しどころではないかと思います。
別居中の婚姻費用(生活費)の受け取りは、毎月、一定の金額を指定した口座に振込んでもらう方法が基本です。
これ以外の支払い方法は、すべてイレギュラーな支払方法といえます。
振込先の口座は、夫の給与振込先の口座とは別の、妻名義の預金口座を指定することが通常です。
毎月、振り込みで支払ってもらう金額は、あいまいにせず明確にしましょう。
そうすることで、万一支払いが滞った場合でもスムーズに法的請求をすることができます。
逆に、金額を曖昧にしてしまうと、トラブルになるリスクを抱えることになります。
具体的な金額を明確にしていないということは、夫が負担する義務も明確になっていないのと同じことです。
別居前に妻が十分な生活費をもらっていたような場合、敢えて毎月の支払額を決めない方が都合が良いと考える人もいるかもしれません。
金額をはっきりさせてしまうと、受取ることのできる金額がこれまでよりも減ってしまう可能性があるからです。
しかし、金額をはっきりさせないまま別居することは、お勧めできません。
別居後に、万一生活費の支払いが滞ったときには、夫に対して法的請求をすることになります。
その時に、はっきりした金額の取り決めがない場合には
「夫が払わなければならない生活費はいくらなのか?」と、そこから議論をスタートしなければならなくなってしまいます。
そして、話し合いがまとまらないときには、調停など裁判所の手続きを利用して解決を図ることになります。
調停では、裁判所の基準表をベースに話し合いをすることが基本となります。
基準表の金額が話し合いのベースになってしまうと、基準表の金額は実際の生活費よりも少ないというケースが多いため、
これまで受け取っていた余裕のある生活費よりも、少ない金額で着地する可能性が高くなります。
妻が夫の給与口座を管理して、そこから生活に必要な費用を引き出すという方法を希望する人も少なくありません。
この場合、お小遣いのような形で、妻から夫へ毎月一定金額を渡すということになります。
このやり方は、夫から特に反論もなく、うまく回っているうちは何も問題ありません。
しかし、ある日突然、夫が給与振込口座を変更してしまい、これまでと同じような金額を支払わないといったトラブルが生じたとき、対処することが一気に難しくなります。
夫の給与口座を、元の預金口座に戻すよう強制することはできません。
そのため給与支払口座を変更されてしまうと大変です。
この時に、毎月の支払金額が契約書などで明確になっていれば良いのですが、
自由に管理できるようにあえて金額を決めていなかったという場合は、夫に請求する金額を明確にすることができません。
夫から「相場では本来〇円負担すれば足りるはずなので、〇円に減額する」というような主張をされてしまうと、相場以上の金額を要求することが難しくなってしまいます。
(そのようなことを言われたときに備えて、あらかじめ金額をはっきりさせた契約書を作成する必要があるのです。)
すでに別居により夫婦は離れて暮らしているため、話し合いをすること自体とても苦労することになります。
このように別居中も妻が夫の給与口座を引き続き管理するという方法は、夫の協力が得られているうちは便利で都合が良いのですが、
ひとたび夫の協力が得られなくなったときには、対応に苦労するリスクの高い方法であると言えるでしょう。
毎月の生活費が支払われなくなったときは、まずは作成した契約書に基づき、相手方に支払いを請求します。
夫婦間で解決することができない場合は、弁護士に相談して、弁護士から請求してもらうこともあるかもしれません。
それでも、支払いに応じないとき、最終的には調停など裁判所の手続きを利用して解決を図ることになります。
このときに、作成済みの契約書・合意書を有利な証拠として利用することができます。
書面があれば一度合意した内容を覆すことは難しいため、弁護士や裁判沙汰になる前の段階で、夫婦間の話し合いで解決することができる可能性が高くなります。
反対に、もし契約書や合意書がなければ「そもそも毎月〇円という金額に合意したつもりはない」などと、別居当初の約束すら、不安定なものとなってしまいます。
また、契約書を公正証書として作成することで、給与の一部差押えなど強い効力をもった書面を確保できますので、より安心することができます。
公正証書を作成する一番の目的は、もしお金の不払いがあったときに強制執行することのできる効力を付与してもらうことです。
相手に差し押さえる財産がない場合は、給与の一部を差し押さえることもできます。
契約書を作成しても、それでもまだ婚姻費用の支払いに不安があるという人は、公正証書の作成も検討してください。
なお、合意書(契約書)さえ用意してあれば、万が一生活費の不払いが発生した場合でも、当事者の話し合いや、調停など裁判所の手続きにより解決を図ることができます。
少なくとも合意書(契約書)を作成しておけば、毎月の支払義務を明確にすることができるため、スムーズに解決を図ることができます。
そのため契約書を必ず公正証書にしなければならないということではありません。
ただ、公正証書があれば、より安心できることは間違いありません。
公正証書を作成する場合は、当事務所で作成した契約書を、公正証書案として最寄りの公証役場に持ち込むことができます。
婚姻費用分担に関する公正証書では、主に毎月の生活費の支払い(婚姻費用の分担)について規定します。
そして、公証人から不払いがあったときには強制執行が可能な執行力を付与してもらいます。
公正証書を作成する基本的な流れは次のとおりです。
尚、フルサポートプランをお申込み頂いた場合には、⑥、⑦を除くその他の手続きを当事務所がすべて代行します。
①公証役場へ公証人との相談予約
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②作成した契約書を公証人に提示して公証人と内容すり合わせ(一から公証人に相談することもできるが元となる契約書がないと多くの時間がかかる)
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③公正証書に記載する内容が固まり次第、公証人が公正証書(案)を作成する
↓
④公証人の作成した公正証書(案)がこちらの希望と合っているか確認
↓
⑤公正証書案の確認後、公正証書(原本)の作成を依頼する
↓
⑥公証役場を訪問し、公正証書(原本)に調印する
↓
⑦公正証書(正本)を受領する
公正証書を作成するための事前準備がなにもない状態で公証役場を訪問してしまうと、
公証人と相談した内容を、一旦、持ち帰り、夫と協議を行い、その結果をまた公証人に伝えるという公証人とのすり合わせに、多くの労力と時間を費やすことになります。
公証人とのすり合わせは、平日の日中に限りますので、何度も公証役場とすり合わせをすることが難しいという人も多いと思います。
あらかじめ作成した契約書を公証役場に持ち込めば、基本的に公証人とのすり合わせは、一度で完了します。
また、当事務所では、公証人との相談などをお客様に代理して行い公正証書の作成を代行するフルサポートプランをご用意しています。
フルサポートプランをご利用の場合は、公証役場とのすり合わせなど必要な手続きは、当事務所が代行します。
ご本人様は、一度だけ最寄りの公証役場を訪問して頂き、押印の手続きのみ行っていただきます。
公証人に相談する時間が取れない、公証役場とのやり取りに不安があるという場合には、当事務所に公正証書の作成をお任せください。
契約書の作成や公正証書フルサポートプランに関するご相談は、本ページ下部の「お問合せフォーム」からご連絡いただけます。
何も手当せずに安易に別居してしまうと、別居中の婚姻費用を確保できないだけでなく、不貞行為の慰謝料請求においても不利に作用する可能性があります。また、別居期間が長期間に渡る可能性がある場合には、契約書を公正証書として作成することをおすすめします。当事務所では弁護士等の意見も踏まえながら、これでに男女問題、夫婦関係について数千件の契約書を作成した実績とノウハウを有しています。お困りの方はぜひ一度ご相談ください。
よくあるご相談
まずはご相談から、お気軽にお問合せください