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愛人契約・パパ活の法的有効性

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記事の執筆者(行政書士 大谷一也)
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金銭トラブルにご注意|愛人契約、パパ活は無効な契約!?

パパ活は、「男女の交際」と「お金」の両方が絡むのでトラブルになる可能性が高いと言えます。

デートや性的関係の対価として、金銭を支払うといった合意は、合意そのものが無効となる可能性も考えられます。

今回は、パパ活や愛人契約の有効性などについて説明します。

愛人契約は、無効な契約とされている

愛人契約とは、既婚の男性が、女性との性的関係や愛人関係の維持を目的として、お金やその他の対価を支払う契約とされています。

男性が女性に対して、毎月一定のお金を渡す、マンションなどの住居を提供するといった形が一般的です。

もちろん、男性と女性が逆のケースもあります。

ただ、このような愛人契約は、公序良俗に反することを理由として、法律上は無効な契約と考えられています。

そのため、もし愛人契約に関して「契約はこうだから」「契約はこうなっているはず」といった話が出ても、法律上の意味はない可能性があります。
 

性的関係を前提としているのであれば「パパ活」も、愛人契約と変わらない

パパ活とは、建前上は食事などデートをして、男性は癒しを求め、女性は対価として金銭を得るといった活動のことをいいます。

しかし、実際には「パパ活」といった呼び名で、愛人契約と似たような約束をしている男女も少なくありません。

パパ活は愛人契約と比べてやわらかい表現のため、このゆるいイメージを隠れ蓑にして、結局、性的関係を前提に、金銭の支払いを約束をしているのであれば愛人契約とちがいはありません。

 

性的関係の対価としてお金を支払う契約は無効になる可能性が高い

「愛人契約を交わした後に、男性が約束したとおりお金を払ってくれません」

このとき女性が、男性に対して「愛人契約」に基づきお金の支払いを請求したとしても、根拠となる元の契約自体が、そもそも無効である可能性があります。

既婚男性と女性との愛人契約は、基本的に、民法90条に違反(公序良俗違反)するため無効であるとされています。

もし、無効な契約であれば、契約による金銭の支払いを求めることは難しくなってしまいます。

公序良俗違反による契約の無効は、愛人契約だけではなく、売春・児童ポルノ・薬物の売買といったその他の不法な契約にも適用され、

これらも基本的に法律上は無効な契約とされています。

パパ活については、「たとえ食事のみの関係」であったとしても、

男性側が女性との性的関係を目的として女性に対して金銭を支払っていた」場合には、公序良俗に反し無効な契約(約束)となる可能性があるため、女性は男性にお金の支払いを要求することができないということもあり得ます。

 

パパ活で支払った金銭を返してほしい

逆に、男性が女性にお金を支払ったにもかかわらず、約束したはずの実際に行為をすることができなかった場合に、

女性に対して、支払った金銭の返還を求めることはできるのでしょうか?

愛人に対して、多額の飲食代やプレゼントを貢いだにもかかわらず、愛人から期待していた行為をしてもらえなかったと「これまで費やした金銭を返してほしい」という男性の希望は通るのか?
 

不法原因給付の返還請求は認めらない

男性側の金銭の支払いが、女性との愛人契約の維持や、性的関係を目的とするものであった場合、

公序良俗に反する目的で給付した金銭やプレゼントは、「不法原因給付」として、相手に対して返還請求することができません(民法708条)。

飲食代や金銭の譲渡の目的が、上記のとおり愛人関係の維持、不貞行為を目的としたものであった場合には、

支払った金銭の返還は認められない可能性が高いことになります。

また、愛人関係の維持・不貞行為という不法な原因を目的として、お金を貸した場合にも、同じような結論になる可能性があります。

 

譲渡の目的が不法原因(愛人契約の維持)ではなかった場合

それでは、もし目的が愛人契約の維持ではなく、プレゼントした当時は、相手に対する真摯な気持ちから、純粋なプレゼントであったが、

後日、やはり気が変わって返してほしいと考えが変わった場合に、プレゼントした物の返還は認められるでしょうか?

通常のプレゼントの場合は、実際にプレゼントを渡す前の約束であれば取り消すことができます。

「〇〇をプレゼントするよ」という、プレゼントする前の段階であれば、その約束は取り消すことができます。

しかし、一度相手にプレゼントを渡してしまうと、もはや取り消すことはできません。(民法550条)

プレゼントを渡した後に、やっぱり気が変わったとして、相手に返還を求めることは基本的にできないということになります。

 

トラブルを予防するため合意書を作成しておく

愛人契約やパパ活に関する契約は、無効になる可能性がありますが、そのすべてが無効になるわけではありません。

パパ活を続けるのではなく、相手との関係を解消するときには、関係解消後のトラブルを避けるため、合意書を作成することがあります。

性的な写真や動画のデータや個人情報の削除に関することや、男女関係の解消に際して、手切れ金等の金銭が支払われることもあるでしょう。

また、男性の配偶者から慰謝料請求されたときの、男性の支払負担なども契約書に盛り込むことができます。

このような交際解消時、別れる際の約束は、トラブル防止の観点から口約束で済ますことなく、合意書を交わしておくことをお勧めします。

 

まとめ

上記のとおり、愛人契約やパパ活に関する契約は、公序良俗に反し、無効な契約とされる可能性が高いため、

これらの愛人契約やパパ活に関して、当事者の間にトラブルが発生した場合であっても、契約に基づいて、トラブルを解決することは困難になります。

約束どおり金銭を支払ってほしい、約束どおり愛人契約を維持してほしいと相手に主張しても、そのような請求は認められない可能性があります。

実際に性的関係を結ぶときには女性が先払いで金銭を受け取るケースが多いそうです。

もしかすると約束を反故にされても、法律上は文句が言えないことを知って、先払いにしているのかもしれませんね。
 

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