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不貞行為の「期間」と「回数」は、慰謝料の金額を左右する非常に重要な要素です。
ただ、「半年の不倫期間は、長期の不倫と言えるのか?それとも短期なのか?慰謝料にどう影響するのか?」など、分からないことも多いと思います。
今回は、慰謝料の金額を検討する際の不貞行為の期間と回数にフォーカスして、具体例を交えながら、わかりやすく説明します。
不貞行為の期間や回数によって、被害者の精神的苦痛の大きさが異なるという考え方があります。
これは当然のことであると言って良いでしょう。
不貞行為が行われていた期間が長ければ、その分慰謝料の金額が上がり、期間が短ければ慰謝料が下がる理由になります。
不倫が長期間に渡っていた場合には、それだけ被害者に大きな精神的苦痛を与えることになり、慰謝料の金額も高くなるという考え方をします。
そのため、不貞行為が行われていた期間や回数が、慰謝料金額にダイレクトに影響を与えるのです。
それでは、どれくらいの期間であれば不貞期間が長いと考えるのか?回数はどの程度あれば多いと言えるのか?
どう考えれば良いのか、以下で具体例を確認しながら理解することができます。
短期(~3か月):3か月に満たない不倫は、短期間の不倫として考えられることがある。
中期(3か月以上~1年未満):短期と比べて精神的苦痛や家庭への影響が大きくなることがあり、慰謝料の金額も高くなる傾向がある。
長期(1年以上):不貞行為が長期間にわたって継続したことは、慰謝料が高額になる方向に働く重要な事情。子のある夫婦が離婚や別居に至る場合には300万円を超える例もある。
以下の判例は、不貞期間が長期であることが慰謝料の増額理由にされたと考えることができる事例の抜粋です。
不貞期間は14年間という長期に渡っている(東京地裁平成14年10月21日)
不貞関係が1年以上の比較的長期間に渡って継続していた(東京地裁平成22年2月3日)
(不倫相手との関係が)約1年7か月という長期間にわたり継続的に繰り返された(東京地裁平成22年7月15日)
「何年以上は長期として扱う」といった明確な基準があるわけではありません。
しかし、上記の事例を参考にした場合、およそ1年~2年以上の不倫期間であれば、不貞期間は長期に及んでいるものとして考慮されている印象を受けます。
そのため、1年~2年以上の不倫関係であれば、長期間の不倫として、慰謝料の増額理由として考慮される可能性があると言えるでしょう。
これまで多くの不倫問題のご相談を受けてきましたが、長期間の不貞行為が発覚したお客様は、短期間のケースよりも深い精神的苦痛を受けているように感じることがあります。
もちろん、これは私自身の相談経験から受ける印象であり、すべての方に当てはまるわけではありません。
特に大きいと感じるのは、長年にわたって嘘をつかれ続けていたことによる精神的なショックです。
実際に、「今まで家族で過ごした時間や夫婦の思い出は、すべて嘘だったのか」といった言葉をお客様から聞くことがあります。
不倫をされていたこと自体もつらいことですが、長期間の不倫が発覚すると、それまで信じていた夫婦生活や、幸せだったはずの家族の思い出まで疑わしく感じてしまうことがあります。
こうしたお客様の声に接していると、不貞期間の長さは、単に何か月、何年という数字だけでは捉えきれない問題なのだと感じます。
次は、不貞行為の期間が短いものとして扱われた判例を紹介します。
交際していた時期は、2か月ないし3か月程度の短期間(東京地裁平成19年9月28日)
不貞行為の期間も、わずか2か月足らずと短期間である(東京地裁平成24年7月24日)
上記の事例では2、3か月の不貞期間を短期間であるとして、慰謝料の減額理由と考えている様子がうかがえます。
被害者とすれば短い期間であっても精神的なショックの大きさに違いはないという気持ちかもしれません。
しかし、不貞行為の期間が短ければ、慰謝料の減額理由として考慮される可能性があります。
ただ、期間が短ければ必ず慰謝料が低額になると考えてしまうことは行き過ぎです。
短い期間であったとしても、非常に悪質なケースというものがあります。
例えば、故意に夫婦関係を壊そうとする言動をしていた、被害者である配偶者を傷つけるような発言を繰り返していたというようなケースです。
このようなケースでは、たとえ短期間の不倫であっても相応の慰謝料を請求できる可能性があると言えるでしょう。
不倫相手の違法性・悪質性が強い場合には、それらの事情が慰謝料を増額させる理由となります。
そのため、数か月間の不倫であったからといって、単純にそれだけで直ちに少額の慰謝料しか請求できないと言い切ることはできません。
不貞期間がはっきりしない、本当のことを聞き出すことが難しいというケースはたくさんあると思います。
しかし、不倫の期間は、慰謝料の金額に大きな影響を与えるため、できる限り真実を明らかにする必要があります。
今の時点で聞き出すことができなければ、その後時間が経過すればするほど、本当のことを聞き出すことが難しくなっていくはずです。
ほとぼりが冷めてから、不倫した本人が自ら不利になる情報を告白するというケースは少ないでしょう。
被害者としては、真実を聞き出すのは恐ろしく、知りたいけどこれ以上何も聞きたくないという気持ちになってしまうかもしれません。
しかし、今後不倫相手や配偶者に慰謝料を請求するときには、不貞期間がとても重要な情報になります。
詳しく聞き出すことが難しい場合には、〇年頃から、または〇月頃からといった大まかな情報で構いません。
私が実際に受けるご相談では、不倫した本人が「肉体関係になったのは3か月前から」と説明しているのに、被害者は1年ほど前から不貞関係があったはずだと強く確信しているケースが少なくありません。
以前から浮気を疑わせる言動があったなど、被害者にはそう考える理由があるものの、1年前からの不貞行為を裏付ける証拠がなく、相手方も認めないことがあります。
このようなケースでは、被害者は1年間の不貞行為があったという認識から高額の慰謝料を希望します。
一方、相手方は3か月間の不貞しか認めず、慰謝料額の話し合いが進まなくなることがあります。
実際にお客様のお話を伺うと、単に多くのお金を受け取りたいのではなく、真実を知りたい、少なくとも不貞行為をした責任はきちんと果たしてもらいたい、という思いが強いように感じます。
しかし、証拠がなく相手も認めない以上、相手が認めている期間を前提に現実的な解決を検討するほかない場合があります。
条件面で示談を目指すことができても、不貞期間については納得しきれず、割り切れない気持ちが残ることもあるのです。
不貞期間とは、不貞行為が行われていた期間を意味しています。
1年間頻繁な連絡のやり取り・デートなどを繰り返したうえで、最後の1か月に不貞行為を行っていたような場合でも、不貞期間は1か月ということになります。
しかし、不貞行為が行われるまでの親密な交際期間が、何ら考慮されないということではありません。
不貞行為がなかったとしても、好意を伝え合う、密会を繰り返すというような迷惑行為が行われていた場合には、それらの行為も考慮したうえで慰謝料の金額を検討することになるでしょう。
不貞行為に至るまで、好き、会いたいといった不適切に親密な連絡をとり合い、二人きりで密会している。
このようなプラトニック不倫に関する慰謝料の考え方については、以下の別ページでくわしく説明しています。
1回のみ:たとえ1度の不貞行為であっても慰謝料請求は可能。ただし、反復・継続的に不貞行為が行われていた場合と比べて、慰謝料の減額要素として考慮されることがある。
数か月に1度:トータルの回数が少なくても、継続性があれば慰謝料は高額になり得る。
月に何度も:頻繁に不貞行為を行っていれば、その分被害者の精神的苦痛は大きくなる。不貞期間が長い場合、慰謝料も高額になる。
「期間」が慰謝料の金額に影響するように、不貞行為の「回数」も、慰謝料金額に影響します。
もちろん、不貞行為の回数が少なければ慰謝料が下がる理由に、回数が多ければ慰謝料が上がる理由になります。
被害者とすれば、「回数などどうでもよい、とにかく許せない!」という気持ちかもしれませんが、
不貞行為の回数も、慰謝料の金額に影響を与える可能性がありますので大切と言えます。
私が実際に示談書の作成を依頼されたケースでは、不貞行為の具体的な回数まで書きたいと希望されるお客様は少数派です。
多くのお客様は、何回という具体的な数字よりも、一定期間にわたって継続的な不貞関係があったことを相手方に認めてもらい、その事実を示談書に残すことを希望されます。
また、被害者は複数回の不貞行為があったと考えている一方で、不倫した当事者は「1回だけだった」と説明し、回数について認識が一致しないケースもあります。
このような場合、相手方の説明に合わせて「1回の不貞行為」と示談書に記載することは、被害者としては承服しかねることがあります。
そこで、回数について当事者間で認識が一致しない場合には、具体的な回数を記載せず、単に「不貞行為を行った」と記載することがあります。
実際の示談書作成では、すべての事実を細かく記載することよりも、双方が認められる範囲で事実関係を明確にし、お客様が納得できる内容で合意書を作成することを重視しています。
不貞期間は少なくとも8か月程度であり、継続的に少なくとも20回程度の性交渉(東京地裁平成25年12月4日)
本件不貞関係における性交渉は、1か月に少ないときで2、3回、多いときで4、5回くらいである(岐阜地裁平成26年1月20日)
上記のふたつは、不貞行為の「回数が多い」として考慮されていると考えられる事例です。
反復・継続的な不貞行為があったことが示されています。
不貞行為は1回にすぎない(東京地裁平成25年3月21日)
肉体関係を持った回数は、合計3回にとどまる(東京地裁平成20年10月3日)
この二つは、不貞行為の回数が少なく慰謝料の減額理由として考慮されていると考えられる事例です。
不貞行為の回数が1回、合計3回といったように、反復・継続性がない(又は少ない)ことを示しています。
このように不貞行為が数回のみというケースは、一定の期間、継続的に不貞行為が行われていた場合と比べて、慰謝料の金額が下がる可能性があると言えるでしょう。
不貞行為が1回だけだったとしても、それを理由に慰謝料が低くなることに納得できないお客様もいらっしゃいます。
実際に、「今回はたまたま1回で発覚しただけで、もし気付かなければ、その後も不貞行為を繰り返し、長期間の不倫関係になっていたはずだ。
だから、1回だったからといって責任が軽いとは思えない」という趣旨のお話を伺ったことがあります。
確かに、1回で発覚したという結果だけを見れば、不貞行為の回数は少ないことになります。
しかし、被害者にとっては、早い段階で発覚したというだけで、配偶者に裏切られたことの重大さが変わるわけではないのです。
もちろん、発覚しなければ不倫が続いていたかどうかは分かりませんので、それを事実として慰謝料の金額を考えることはできません。
ただ、実際の相談に接していると、不貞行為の回数が少ないからといって、被害者の怒りや精神的苦痛まで小さいとは限らないことを感じます。
慰謝料の金額算定には、不貞行為の期間・回数だけでなく、その他のあらゆる事情が考慮されます。
相手の謝罪や真摯に反省している態度といったものも、慰謝料の金額に影響を与えるとされています。
例えば、不貞行為をしていたことは明らかにもかかわらず、証拠がないことなどを逆手にとって、相手が不貞行為をいつまでも認めない。
そのような不誠実な態度は、慰謝料を増額する理由として考慮される可能性があります。
不貞行為を認めないという不誠実な態度は、被害者の精神的苦痛を増大させると考えられるからです。
反対に、当初から不貞行為を素直に認め、真摯に反省している態度を示すような場合には、慰謝料を下げる理由として考慮される可能性があると言えます。
不貞行為の期間と回数は、いずれも慰謝料の金額を左右する重要な要素です。
ここでは、まず不貞期間をもとに、大まかな慰謝料の金額の目安を紹介します。
不貞期間を基準にした慰謝料の大まかな金額イメージは、次のとおりです。ただし、期間ごとに法律上の算定基準や確定的な相場が定められているわけではありません。
・3か月未満の短期 50万円~100万円
・3か月以上~1年未満の中期 80万円~150万円
・1年以上の長期 100万円~200万円
すべての事例が上記の金額の範囲内に収まるということでありません。
ここからさらに不貞行為の回数や、被害者側の結婚期間、相手の行為の悪質性など、様々な要素によって個別のケースごとに金額が増減します。
不貞行為が原因で離婚や別居に至った場合には、婚姻生活に与えた影響が大きい事情として、慰謝料の増額要素になることがあります。
不倫相手に慰謝料請求する方法は、いくつかあります。
まず、相手が素直に不貞行為を認め、慰謝料を支払う意思を示しているのであれば、本人同士の話し合いのみで解決できる可能性が高いです。
(その場合でも、不倫相手と【 示談書 】などの書面を交わすことは必要です。)
相手との話し合いは、直接会っても良いですし、会うことに抵抗がある場合には、電話、メールやLINEなどで連絡してメッセージのやり取りで協議することもできます。
また別の方法として、慰謝料請求の通知書を作成して、これを内容証明郵便で送付するという方法があります。
実務上では、この書面を内容証明郵便で送付して請求する方法が一般的な方法です。
弁護士も相手方に対して慰謝料請求をするときは、まず通知書を送付するところから始めます。
口頭の話し合いでは、もし相手が口達者であった場合など、誤魔化されてしまう、言いくるめられてしまうといった不安があります。
(自分の迷惑行為を棚に上げて、ひたすら言い訳と権利の主張を繰り返し、話にならないという相手は実際に結構いるようです)
しかし、その点、書面による通知・請求であれば、こちらから法的根拠に基づく論理的な請求をすることができます。
また、内容証明郵便を利用すれば、どのような請求をいつ行ったのかを記録として残すことができます。
口頭でのやり取りとは異なり、後日、請求内容について認識が食い違った場合にも、通知した内容を確認できることがメリットです。
不貞行為が行われていた期間については、その長さだけでなく、当時の被害者がどのような状況に置かれていたのかという点も重要です。
私が不倫相手への慰謝料請求の通知書を作成する際、お客様から「妻の妊娠・出産中、子育てで大変だった時期に不倫していたことを明記してほしい」と希望されることが多くあります。
夫に対しては、自分が妊娠や育児で大変な思いをしていたのに、夫は別の女性と不倫関係を楽しんでいたことへの強い怒りがあります。
また、不倫相手の女性に対しては、こちらが妊娠・出産や育児で大変な時期であることを知りながら、夫と不貞関係になったことは悪質であり、許せないという思いを訴えるお客様も多くいらっしゃいます。
このようなご相談を受けると、慰謝料を請求するお客様にとっては、単に不貞行為が何か月続いたのかということだけでなく、どのような時期に裏切られ、どれほどつらい思いをしたのかを相手方に伝えることも大切なのだと感じます。
なお、不倫相手の女性が妊娠・出産等の事情を知っていたかどうかについては、お客様の認識と客観的に確認できる事実を区別して検討する必要があります。
通常、不貞関係になる前の段階、いわゆる親密な連絡をしていた期間や、単に食事だけなど密会していた期間があります。
この期間は、基本的には不貞期間には含みません。
しかし、この不貞期間の前の段階に行われていたデートや親密なやり取りなどによって、被害者夫婦の平穏は侵害され、精神的苦痛を受けます。
そのため、慰謝料の金額決定に関係ないということではありません。
不貞行為が3回、5回だったとしても、それぞれの回数に応じた決まった慰謝料の相場があるわけではありません。
例えば、短期間に3回の不貞行為があった場合と、長期間にわたって5回の不貞行為があった場合では、回数だけでなく不貞期間や継続性も異なります。
そのため、回数は重要な判断要素ですが、婚姻関係への影響なども考慮して、慰謝料の金額を個別に検討する必要があります。
相手に払ってほしいと請求する金額は、常識的な範囲内であれば、自由に決めることができます。
例えば仮に相場の金額が数十万円と考えられる場合でも、100万円以上の請求をしても基本的には何の問題もありません。
実際に、本人同士で任意に合意できるのであれば、最終的に相場以上の慰謝料を受け取ることもできます。
素直に不貞行為を認めて、誠実に謝罪する相手と、自分たちがやったことなのに不貞行為を認めず、謝罪もしない、この2パターンの慰謝料が同額というのは、被害者とすれば納得できません。
裁判の判例においても、相手の態度や謝罪の有無などが、慰謝料の変更要因になると考えられているため、不誠実な対応があった場合には、その分、相手に請求する金額を増やしても良いでしょう。
正確な期間や回数まで分からない場合でも、不貞行為が1回だけだったのか、それとも、過去数年間に渡って不貞関係にあったのかによって、慰謝料の金額は大きく変わります。
そのため、なんとなくのイメージでも良いので少なくとも不貞関係にあった期間くらいの情報は聞き出したいところです。
また、不貞期間や回数がすべて判明していない段階で慰謝料の示談をする場合には、後日、新たな不貞行為が判明したときの取扱いを示談書で明確にしておくことが大切です。
不倫や浮気に関する書面の作成は、自分たちでできるとお考えかもしれません。ただ、法的効果のある書面を作成するためには、一定の法律上の知識が必要になります。
当事務所では、弁護士等の意見も踏まえながら、これまでに夫婦・男女問題に関する書面作成などのご依頼を3,000件以上受任してきました。
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