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風俗での不貞行為と慰謝料請求

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夫の風俗通いや、風俗嬢と不倫関係にあったときの対応

行政書士イメージ

執筆者
行政書士アークス法務事務所 代表 大谷一也

2014年から10年以上不倫・婦問題に関する書面作成を専門として、年間数百件<延べ3,000件以上>の作成実績

夫婦問題を専門とするプロのノウハウをご活用ください!

夫が、隠れて風俗店を利用していた。不貞相手が風俗嬢だったというケースは少なくありません。

配偶者に対しては、場合によって不貞行為に伴う慰謝料請求ができることがあります。

ただし、風俗嬢への慰謝料請求については判断が分かれています。

今回は、夫が風俗を利用していたときの責任や風俗嬢への慰謝料請求について、わかりやすく解説します!
 

性風俗の利用で夫に慰謝料請求できるのか

夫婦関係が破綻した場合には慰謝料請求できる

悩む女性


夫や妻が他人と性行為や性交類似行為を行えば、

慰謝料を請求することができます。

ちなみに性交類似行為とは、オーラルセックス(口淫)や裸で抱き合うことなど性的な行為のことを指しています。

夫から「風俗なんて遊びの一環だ」「不倫とはちがう」と言われて困っている人もいるかもしれません。

しかし、たとえ性風俗店のサービスを利用した不貞行為であっても、それにより夫婦関係が破たんした場合には、配偶者に対して慰謝料を請求できると考えられています。

夫が風俗を利用して性行為を行っていることを知れば、夫婦の平穏が侵害され、妻は多大な精神的苦痛を受けます。

さらに、性行為や性交類似行為は、法定離婚原因の一つとされています。

そのため夫の風俗通いが原因で、夫婦関係が破綻した場合には、慰謝料の支払と併せて離婚の請求をすることもできます。

もし夫が「たかが風俗で何を言っている」と、離婚を拒んだ場合でも、妻は離婚の請求をすることができます。

実際の事例では、、
日ごろから性風俗の利用を認め合っていない夫婦の場合、夫が隠れて性風俗を利用していたことが発覚すれば、妻において重大な精神的苦痛を被ることになります。そのため、夫婦間での話し合いによって、夫から妻に対して、慰謝料を支払うこと、改めて性風俗を利用しないことを約束して解決を図るケースがあります。

夫婦の平穏を侵害する、その他の迷惑行為

不貞行為とは、基本的には性行為であるとされていますが、性行為や性交類似行為がなくても慰謝料請求できることがあります。

たとえ性行為がなくても、こちらの夫婦の平穏を侵害する迷惑行為があれば、配偶者や浮気相手に対して慰謝料請求できる場合があります。

「性行為はしていません(だから私は悪くありません)」などと、性行為さえなければ既婚者と何をしても良いということではありません。

上記のようなプラトニックな浮気があったときの慰謝料請求については、別ページ→「プラトニック不倫の慰謝料請求」で説明しています。

 

夫に風俗利用の慰謝料を請求する

配偶者に対して、性風俗を利用した不貞行為の慰謝料を請求する

離婚届


不貞行為によって夫婦関係が破綻した場合には、夫に対して慰謝料請求を検討できます。

不貞行為の慰謝料は、数十万円から夫婦が離婚に至るような場合には300万円程度が相場とされています。

慰謝料の金額は、もちろん1回きりの不貞行為よりも、継続的に不貞行為が行われた方がより高額となります。

1,2回程度の風俗利用を原因として、夫婦間で慰謝料を請求をしても、夫は支払いに応じないかもしれません。

しかし、以前から夫婦の間で「風俗利用は止めてほしい」と話し合っていた場合や、

くり返し性風俗の利用を止めてほしいと伝えていたにもかかわらず、夫が風俗通いを止めないことで夫婦関係が破たんしたというような事情がある場合には、

万一、慰謝料の支払で争いになった場合でも慰謝料支払いが認められる可能性が高いといえます。

実際の事例では、、
夫婦関係の「破たん」が認められない場合でも、妻の精神的苦痛を理由に、性風俗を利用した夫から妻に対して、慰謝料が支払われるケースがあります。

デリバリーヘルス(デリヘル)を利用した場合

肘をつく女性

最近ではデリバリーヘルス(デリヘル)を利用して、ホテルや自宅などで、ヘルスに登録している女性と性行為をするというケースが増えています。

夫がデリヘルを利用して店舗外で性行為を繰り返しているようなケースでは、

店内での性行為の場合と比べて、より夫に対して慰謝料の支払を求める方が多い印象があります。

しかし、店舗内、店舗外どちらでサービスを受けていても、慰謝料請求については基本的に違いがありません。

実際の事例では、、
はじめはデリバリーヘルスなどの風俗店のサービスを通じた不貞行為であったにもかかわらず、その後相手女性と個人的に連絡を取り合って、個人的に会っていたというケースも少なくありません。

その場合には、本当に個人としての関係性なのか、それとも風俗店の営業行為の一環で、単に風俗嬢が氏名を得るためなどサービスとして連絡をしていただけなのかを見極める必要があります。

風俗嬢と私的(プライベート)に会っている場合

胸に手を当てる女性

風俗嬢と、店外で私的に会って、性行為をしている場合、

これは単に男女関係(恋愛関係)に基づいた不貞行為が行われていることと同じです。

店外で私的に性行為をしている場合には、通常の不倫関係と変わるところはありません。

恋愛関係による私的な性行為は、店内でのサービスとしての性行為よりも、妻に対し大きな精神的苦痛を与えます。

女性との関係が長く頻繁に性行為が行われていた場合、期間や頻度に比例して請求できる慰謝料の額も大きくなります。

私的な関係の場合には、

夫から「性風俗を利用しない」という約束に加えて、女性との私的な不貞関係を解消する約束をしてもらう必要があります。

夫から不倫関係の解消を約束してもらった場合には、口約束で済ませずに誓約書や合意書などを作成して、書面に残すことをお勧めします。

 

不倫・浮気の誓約書と示談書

風俗嬢に対して慰謝料請求する

風俗嬢への慰謝料請求は基本的に難しい


次は、夫ではなく、風俗嬢に対する慰謝料請求についてお話しします。

風俗嬢は性的サービスを提供する仕事をしているため、風俗での性的サービスは、風俗嬢の仕事そのものとなります。

このような業務・営業的な性行為について、風俗嬢へ慰謝料請求できるか、否かについては、裁判の判例でも結論がふたつに分かれています。
 

考え方1

風俗嬢が行う店内の性的サービスであっても、客が既婚者であると知ったうえで性行為を行えば、慰謝料請求が認められ得る

考え方2

風俗嬢のサービスは、業務・営業的な行為であるため夫婦関係を破たんに至らせる不貞行為には該当しない

絶対に慰謝料請求できないとまで言い切ることはできませんが、

風俗嬢への慰謝料請求は基本的に難しいという考え方が一般的です。

また、不貞行為の慰謝料請求をするためには、「既婚者と知って不貞行為を行っている」ことが必要になります。

もし「客が既婚者だと知らなかった」と風俗嬢から反論されてしまえば、

こちらから「いや既婚者だと知っているはずだ」と再反論することが難しくなってしまいます。

さらに、通常の不倫関係であれば、不倫相手女性がどこの誰で、どこに住んでいるなどの情報を、夫から聞き出すこともできますが、

慰謝料請求の相手が風俗嬢だとすると、「相手の勤めるお店と源氏名しか分からない」という状況が多いはずです。

そのため、実際に慰謝料請求するときには、相手に関する調査が必要になります。

このように風俗嬢に対する慰謝料請求は、通常の不倫相手と比べて困難になることが多いといえます。

実際の事例では、、
単に性風俗店に勤務する女性が、性風俗店のサービスとして、配偶者と不貞行為を行っていた場合、この女性に対して慰謝料を請求する書面を作成したというケースはこれまでにはありませんでした。しかし、風俗嬢とプライベートな不倫関係にあったという場合は除きます。

店外でプライベートで性行為をしている場合は、通常の不倫と変わらない

腕を組む男性

風俗店の店外で、私的に不貞行為をしている場合は、たとえ相手の仕事が風俗嬢であったとしても、通常の不倫関係と同じように慰謝料請求が可能です。

店内での性的サービスについては、営業・業務上の行為といえるため慰謝料請求の可否について考え方が分かれます。

その一方で、店外でのプライベートな関係であれば、通常の不倫と変わりません。

慰謝料の相場は、通常の不倫と変わらないため、数十万円からこちらが離婚に至るようなケースでは300万円程度になる可能性があります。

ただ風俗嬢との不倫特有の問題として、相手が源氏名を使用するなど、相手の素性が分かりにくいという特色があります。

これまでのご相談事例から、相手女性と連絡を取ろうにも、相手の素性がわからず話し合いに応じてもらえないというケースが多い印象があります。

本来、店外での私的な性行為については、風俗嬢に対して通常の不倫と変わらずに慰謝料請求することができるのですが、

相手との話し合いに苦戦している方が多い印象があります。

実際の事例では、、
話し合いをしたくても話し合うことができない。内容証明郵便を送付して慰謝料請求したくても相手の氏名も分からない。職場(風俗店)に連絡しても取り合ってもらえないという事例が多く、慰謝料請求に難航するケースが多い印象があります。

夫の風俗通いを止める方法

夫の収入と支出を管理する

給与明細


これまでと同じことが起こらないように、夫には風俗通いを止めてもらう必要があります。

まずは夫が納得するまで、夫婦で十分に話し合うことが大切です。

しかし「二度と風俗を利用しない」という口約束のみでは、夫を信用することはできないでしょう。

風俗サービスの利用には一般的に高額のサービス料を支払う必要がありますので、夫の風俗利用を抑止するために、お金を管理を押さえることをお勧めします。

給与明細やクレジットカード利用明細を毎月必ず開示してもらい、何にお金を使っているのかチェックします。

自営業や個人事業主の場合には、お金はすべて夫に任せていて「何も分からない」というケースが多いと思います。

その場合には、これまでブラックボックス化していた夫の金銭管理を、妻が行うよう申し出るか、もしくはお小遣い制にすることに同意してもらうと良いでしょう。

実際の事例では、、
浮気・不倫問題を抱える夫婦の特徴として、お金の管理を夫婦で別々にしている、配偶者の貯金や収入を詳しく知らないというケースが多いです。そのため、もしそこを変えることができれば、浮気や不倫の抑止に効果を発揮することが期待できます。

不貞行為を行わないことを約束してもらい、違反したときのペナルティを定めた書面を作成する

夫の性風俗利用を抑止する方法として、夫婦間で誓約書や合意書を交わすという方法があります。

風俗での性行為は、不貞行為に該当すること、再び風俗を利用して不貞行為を行ったときは、一定額の慰謝料を支払うことなどを書面で約束してもらいます。

万一、再び不貞行為があったときには、誓約書や合意書であらかじめ定めた慰謝料を請求することができます。

この他にも、次に不貞行為を行ったときには、それが法定離婚原因、または夫婦関係を継続し難い重大な事由に該当することを、

書面上で確認してもらい、妻の申し出に基づく離婚協議に応じることなども約束してもらいます。

これらを誓約書や合意書といった法的効果を有する契約書にすることで、夫の風俗利用を抑止する効果が期待できると同時に、

万一離婚に至った場合でも離婚協議をスムーズにする、または、こちら有利な証拠とすることができます。

誓約書などの書面作成については、以下のページで詳しく説明しています。

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